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私と紺ブレのいい関係。

紺ブレが似合う街、浅草。

どんな店にも飛び込める紺ブレマジック。

経年変化は人生のダイアリー。

日本では通称“紺ブレ”と呼ばれ、世代を超えて親しまれるアイテム、ネイビーブレザー。この不朽の名作ジャケットと、切っても切れない密な関係を築いている紺ブレ愛好家をゲストに迎え、語り尽くす新連載「私と紺ブレのいい関係。」。第3回は、イラストレーターのエイドリアン・ホーガンさんのお話。アトリエを構える浅草〜蔵前エリアを街ブラしながら、今日の「私と紺ブレ」の出来事を描いてもらいました。

NAVY’S CLUB No.003

エイドリアン・ホーガン
イラストレーター

1986年生まれ、オーストラリア・メルボルン育ち。26歳に来日。雑誌、広告、書籍などで幅広く活躍。ライフワークは、移動中の車内や持ち合わせなどの空き時間にイラストを描くこと。その様子や、趣味のヨガにまつわるコミックエッセイをインスタグラム(@adehogan)で発信。本企画「NAVY’S CLUB BY J.PRESS 私と紺ブレのいい関係。」のタイトルデザインも担当。

新旧の時代がミックスした街並みには、紺ブレがよく馴染む。

こんにちは、イラストレーターのエイドリアンです。私の大好きな浅草へようこそ! 日本の新旧の時代が小さな街にギュッと詰まった東京のイーストサイドのカルチャーに惹かれて、5年前からこのエリアを拠点にしています。今日は私の行きつけやアトリエを案内しながら、あれこれとネイビーブレザーのお話もできたらと思います。

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まずはご存じ、浅草寺です。祭や寺社仏閣といった日本の伝統を象徴する街のランドマークですが、それだけではない魅力が浅草にはあります。街自体がカルチャーと言えるほど、トラッドなものとモダンなものが混ざり合っていて、この辺りはどこへ出かけてもユニークな発見があります。 例えば、江戸っ子行きつけの明治創業の居酒屋もあれば、気に入ったレコードを持ち込むとBGMで流してくれる蕎麦屋もあって、そこで働く人や生活する人たちのキャラクターもさまざま。どんな人でも受け入れてくれる懐の深さが、この街の素敵なところ。ふらっと出かけるだけで、とても刺激されます。

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外出する時は、いつでもスケッチできるように、〈Karismacolor〉の鉛筆や〈Copic〉の水性ペンとB5ノートを必ずバッグに入れて、そしてネイビーブレザーで。 カチッとしたジャケットと違って両側と胸のポケットはどれもフラップが付いていないので、イラストを仕上げる時に鉛筆やペンをサッと出し入れできるから便利なんですよね。 今のネイビーブレザーは、ただクラシックなだけじゃない現代的なディテールが詰まっている。それって新旧の時代がミックスした浅草の街並みによく似ていると思うんです。だからか、いつも以上に街に溶け込めるような気がして、このエリアを散策するユニフォームにしているんですよ。 その他は、ジーンズかチノパンツに、〈コンバース〉のオールスターか革靴を合わせて、お気に入りのキャップを被るのがマイ・スタイルです。

とりあえず紺ブレなら、どんな店にも飛び込める。

早い時間からお酒を楽しみたい日は、蔵前の『NOMURA SHOTEN』に立ち寄るのがお馴染みのコース。日本の角打ちと海外のバルをミックスしたようなスタイルで、私が大好きなビールはもちろん、ジンや焼酎などの酒類が豊富で珍しいナチュールワインも揃えています。 カジュアルな立ち飲みスタイルのお店なので服装のことはあまり気にする必要はありませんが、この後に食事の誘いが入ることも。そういった予定を見越して、「とりあえずネイビーブレザーで出かけておこう」というワードローブの選択肢があることが、とても心強い。 故郷のオーストラリアでは、その後の予定に合わせて帰宅して着替えるのが一般的ですが、日本は一度家を出たら夜まで基本的には同じ装いのまま。だから、オケージョンを選ばないネイビーブレザーは特に重宝するんです。

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ふり返ると、ネイビーブレザーを意識し始めたのは、幼少期の頃。オーストラリアの政治家だった祖父がよく着ていて、当時はカチッとしたイメージがありました。その印象がガラッと変わったのが、ロックバンド、AC/DCを観てから。こんな自由な着方もできるのかと。 昔から、伝統的なものも、型にハマっていないものも好きで、そういう意味でも、ネイビージャケットは私にうってつけでした。

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どこかオーセンティックで、型にハマらない『NOMURA SHOTEN』を行きつけにするのも、好みが一貫していて自分らしいなと思います。ちなみに、この店はお酒だけでなく和洋折衷のアレンジが効いたメニューも絶品で、今日はお新香と、塩辛を添えたワカモレを酒のお供に。

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NOMURA SHOTEN
住所 : 東京都台東区三筋 2-5-7 カミヤスミスジクラマエ 1F
IG : @nomura_shoten_tokyo

日々を共にする紺ブレとイラストは人生のダイアリー。

仕事場にしているアトリエは、翻訳家の友人とシェアしています。本棚には、イラストの参考にする図鑑や人体解剖書などの資料のほか、街の情景を描き留めてきたノートが何十冊とあります。

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私にとってイラストを描くことは、五感で味わったものを、記憶にも記録にも留めておく作業なんです。街をスケッチしていると、普段は見過ごしているいろいろな気づきがあります。 例えば、どんな音が街から聞こえるか、また香りはどうか、その時の自分の気持ちはどうだったのか、そういったことをすべてダイアリーのようにスケッチしていきます。おそらく写真よりも情報がたくさん詰め込まれている気がします。こういった感覚は、きっとネイビージャケットとも共通する点が多いと思うんですよね。

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私自身、ピカピカな新品を着ることは少し気恥ずかしさがあって、ネイビージャケットも金ボタンの塗装が剥がれていたり、リペアした痕跡があるものの方が心地いい。そういった経年変化の一つ一つが、どこで何をした時にできたものか、また日頃の自分の癖によって蓄積されたものか、ネイビージャケットの記憶として刻まれていく。 私のライフワークであるイラストと同じように、このJ.PRESSの『ファーストブレザー』にもたくさんの思い出を刻んでいきたいと思っているんですよ。

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photo: Takahiro Otsuji
text&edit: Keiichiro Miyata
title : Adrian Hogan
direction: Akiko Jimbo

NAVY'S CLUB by J.PRESS

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