ORIGINALS

2015 Autumn & WINTER 

J.PRESSの新定番

アイビーリーガー御用達の注文服店から全米に既製服を展開する紳士服ブランドへと、 J.PRESSが変貌しつつあった1950年代。その一助を担った当時のブローシャー(通信販売用カタログ)には、いまも世代を超えて愛される数々のベーシックアイテムが掲載されていました。それらは紳士服飾発祥の地、英国の気風を色濃く残したJ.PRESSの原点= オリジナルであり、いつの時代にも不可欠な私たちの定番です。2015年秋冬シーズン、長年に渡って作り続けてきた定番の12アイテムをモダンなシルエットとこだわりの素材で刷新。J.PRESS ORIGINALSと題して、新たに提案します。それらは普遍的な価値と現代的な感度を兼ね備えた、いまこそ着てほしい新時代のトラディショナルです。

NEW AUTHENTIC BLAZER

学校や軍隊のユニフォームを起源とするブレザーは、ビジネスシーンから休日のカジュアルまで、スタイルを問わずに活躍する男の必携ワードローブのひとつです。それはJ.PRESSにとっても同じであり、1902年にイエール大学のキャンパス内に創業し、学生たちの制服として 仕立てて以来、今日までブルーブレザー ( J.PRESSではネイビーを伝統的にブルーと呼びます)は欠かすことができないアイテムとなっています。そうした長い歴史を通し、 J.PRESSが育んできたブレザーがオーセンティックモデルです。私たちはJ.PRESS ORIGINALSをスタートするにあたり、まずこの定番中の定番のリニューアルに着手。ボックスシルエット や3つボタン段返り、フックベントといっ たアイコニックなデザインはそのままに、端正で現代的なシルエットと動きやすく快適な着心地を兼ね備えるニューオーセンティックモデルを完成させました。

第1ボタンが裏返るほどロールした3つボタン段返りの 前合わせ。オーセンティックモデルの伝統的な仕様。

また、素材には高品質なニュージーランドメリノのなかでも長い繊維長と強めのクリンプ(縮れ)が特徴である、ペピンメリノ種の原毛を厳選。梳毛服地の産地、 英国ヨークシャーに伝わるスクエアセッ トというスペックで織り上げたオリジナルサキソニー生地を採用しました。英国 生地のようなハリ感と高い耐久性を備えつつ、柔軟で上品な光沢を湛え、タイドアップはもちろんスポーティな装いにも抜群の相性を発揮します。まさにワード ローブの基幹となる、現代にふさわしいブルーブレザーです。

鈎状のフックベントもJ.PRESS伝統のデザイン。

スポーティかつ実用的なフラップ付きパッチポケット。

1001 COLLEGE FLANNEL BLAZER

1902年に創業し、一世紀以上に及ぶ歴史のなかで、数々のアイテムを世に送り出してきたJ.PRESS。そのなかにはファブリックメーカーとともに取り組み、“ 傑作素材”とまで謳われた服地を用いたものも少なくありません。日本でアメリカントラディショナルスタイルが流行した1970年代、鐘淵紡績(カネボウ)と共同開発した“1001 カレッジフランネル”も、いまだ根強いファンが多いJ.PRESSの代表素材です。学生服用のフランネルを長年手掛けていた同社は、地下水によって洗毛(原毛を洗う工程)と縮絨(生地を 縮ませて密度を高める工程)を行う、繊維にストレスをかけない独自の製法を開発。重ね着できない学生服としても通用する抜群の保温性と高い耐久性、そして着込むほど身体になじむ着心地のよさを 実現させました。

左身頃内側に付く1001カレッジフランネルのラベル。 深紅のパイピングはJ.PRESSのアイコン的ディテール。

そして、1000回の試作後に完成したという逸話から1001カレッジフランネルと名付けられ、大ヒットを記録。そんな傑作素材はJ.PRESSでも長らく定番の素材として人気を博しましたが、ここのところ途絶えておりました。そしてこの度、次世代に伝えるべきJ.PRESS ORIGINALS として甦らせることに。復刻を依頼したのは、その門外不出の製法を当時から守り続ける製織工場。さらに上質な原毛を用いることで、独特のハリ感や保温性はそのままに、よりソフトな風合いを備える進化したカレッジフランネルが誕生したのです。刷新したニューオーセンティックモデルのボディに3パッチポケット、オリジナルのUSクレスト柄ウォーターバリー社製メタルボタンと、往年のファンも納得の仕様でお届けします。

J.PRESS独自の紋章を描いた重厚感あるメタルボタン。

NEW AUTHENTIC SUIT

J.PRESSの歴史は、職人気質のテー ラーだった創業者ジャコビー・プレスが仕立てるスーツから始まりました。なによりも快適な着心地にこだわったジャコ ビーは、人体を締め付けない、包み込むシルエットを考案。その快適さが評判となり、アイビーリーグの学生だけでなく各地の名士たちもこぞってJ.PRESSでスーツを仕立てるようになりました。やがてスーツの主流が注文服から既製服へと移行し、“サックスーツ”と呼ばれるアメリカならではのスタイルが成熟。そうした時代にもジャコビーの思想は貫かれ、オーセンティックモデルとして脈々と受け継がれてきたのです。そしていま、私たち はJ.PRESSのスーツに込められた創業者の理念を未来へと繋げるために、オー センティックモデルの進化に着手。

上質なペピンメリノを用いた サキソニー生地のラベル。

ボディにダーツのないボックスシルエットやナチュラルショルダー、3つボタン段返りの前合わせ、パイプドステムと呼ばれるストレートラインのトラウザースといった伝統的デザインを踏襲しつつ、より現代的なバランスに刷新。快適で動きやすい着心地とモダンなシルエットを兼ね備えたニューオーセンティックモデルのスーツが完成しました。7mm幅のヘムステッチやセンターフックベント、深紅のパイピング処理など、アイコニックなディテールも継承。上質なペピンメリノ羊毛製オリジナルサキソニー生地で仕立てた渾身の スーツが、J.PRESSの過去と現在、そして未来を繋ぎます。

クラシックな仕様に倣った サスペンダーボタン付き。

BUTTON DOWN SHIRT “IRVING B.D.”

襟の収まりを向上させるバックボタン。肩のラインに沿わせるためのV字状の“アンブレラカット”が特徴。

アメリカの紳士服業界では、“J.PRESS POCKET”という言葉がしばしば一般的な名詞として使われていることをご存 知でしょうか。それはJ.PRESSのドレスシャツのトレードマークともなっている、ボタンフラップ付きの胸ポケットのこと。このアイコニックなポケットは1950年代、コネチカット州ニューヘブンのイエール大学内にあるJ.PRESSの一号店で誕生 しました。当時、同店で学生たちと接して いた二代目社長アービン・プレスが「学生はモノを持ち歩くことも多いだろう」という心遣いからデザインを考案。コープ (大学生協)で販売したところ瞬く間に人気となり、他のアイビーリーグ校にまで 広まったのです。以来、J.PRESSのシャ ツを象徴するデザインとなり、なかでもボタンダウンカラーと組み合わせたモデル は二代目社長への敬意を表して“アー ビン B.D.”と呼んでいます。それは顧客本位の発想から生まれた名品であり、次世代に伝えるべきオリジナルです。

そのリ ニューアルに際しては、背部のボックスプ リーツや襟後方のバックボタン、脇裾の補強用ガゼットなど、トラディショナルなアメリカンボタンダウンシャツの代表的ディテールを網羅。シルエットをコンパク トなバランスに見直し、洗うたび風合いの増すオリジナルコットンオックスフォー ドを採用しました。スーツやジャケットに合わせてタイドアップすればエレガントに、また洗いざらしを一枚で着てもモダンな印象でさまになる、大活躍間違いなしのシャツです

このシャツが考案された一号 店の住所を裾にスタンプ。

着脱時に負荷のかかる両脇 裾は補強用のガゼット付き。

AUTHENTIC REGIMENTAL TIE

J.PRESS創業者である父ジャコビー・プレスの跡を継ぎ、二代目社長となったアービン・プレス。職人肌の父とは対照的に、優れた経営者だったアービンは、J.PRESSを世界的なブランドへと成長させました。また稀代のウェルドレッサーでもあり、J.PRESSが標榜するオーセン ティックトラディショナルスタイルは彼が 確立したといっても決して過言ではありません。そんなアービンがJ.PRESSに欠かせないアイテムとして、常に店頭に取り揃えていたのが英国のレジメンタルタイ。英国の連隊や各種の学校の制服に端を発するレジメンタルストライプ柄のタイは、いまやさまざまな配色でアレンジされ、世界中のビジネスマンの定 番アイテムとなっているのはご存知の通りです。私たちはそんなレジメンタルタイをJ.PRESS ORIGINALSとしてラインナップするにあたり、あらためて本物を追求。特にアービンがこよなく愛したアーガイル&サザーランドハイランダーズ柄をはじめ、すべて英国に実在する連隊や学校、クラブなどで使用されている本物のレジメンタルストライプ柄を再現し ました

小剣には、本物のレジメンタルストライプであることを 示す、それぞれの正式名称が織り込まれています。

また、ストライプの向きにご注目を。英国ではタイに向かって右上から左 下へ流れるノの字型のストライプが多いのに対して、逆の左上から右下に流れる向きを採用しています。それは“アメリカンウェイ”と呼ばれ、J.PRESSの伝統でもあります。さらに素材にもこだわり、英国の伝統的なレジメンタルタイに用いられるヘビーレップ(畝組織のシルク生 地)を採用。ハリがあるため、締めた際、ノットを作りやすいことも特徴に挙げら れます。大剣幅はベーシックな8.5cmに設定。オーセンティックな表情ながらも、 現代の幅広いコーディネートに対応するレジメンタルタイに仕上げました。それは時代やスタイルを超越した、真のトラディショナルです。

WEATHER PROOF BALMACAAN COAT

スコットランドのインバーネス地方の名から名付けられたバルマカーンコートは、160年以上もの歴史があるとされる 英国の伝統的なコートのひとつ。1930年代にはアメリカの東海岸に広まり、 J.PRESSでもその頃から取り揃えられていました。日本ではステンカラーと呼 ばれることが多いそのコートは、いまもアメリカで高い人気を誇り、アメリカントラディショナルスタイルの代表的コートといえるでしょう。そんなバルマカーンコートをJ.PRESS ORIGINALSとして進化させる際、私たちが最もこだわったのが素材です。英国ではレインコートとしても着用されるという原点を見つめ直し、 第二次大戦時に英国軍のために開発された撥水素材、ベンタイルを独自のスペックで生産しました。高密度に織り上げることでコットン100%ながらも高い 撥水性を発揮する基本構造はそのままに、繊維長の長いエジプシャンコットンの採用により、上品な光沢としなやかさを加味。さらに樹脂系のコーティングで 撥水性を高めるとともにハリとコシを与え、高機能かつエレガントで高級感のある表情となっています。

最もクラシックな配色のネイビー×レッドのタッターソー ル柄ウールライニングは、着脱可能で3シーズン対応。

また上襟が大きくて高いバルカラーをはじめ、フロントボタンを露出させず防風性を高めた比翼仕立て、動きやすいラグランスリーブなどクラシックな仕様は継承。程よくゆとりがあって快適な着心地ながら、すっきりとモダンに見える新しいシルエットにより、いまの時代の新定番コートにふさわしい佇まいが堪能できるはずです。

生地ラベルは英国軍との所縁を示す戦闘機の絵柄入り。

ブローシャーに掲載されていたイラスト入りのラベル。

WEATHER PROOF TRENCH COAT

古いブローシャーに掲載されていたイラストをそのまま転載したラベル。ディテールも当時のものがベース。

現代の紳士服は、そのほとんどが英国に源流を求めることができます。それはオー センティックアメリカントラディショナル =本物のアメリカの伝統的スタイルを自負する、J.PRESSも同じです。J.PRESS ORIGINALSをスタートさせるうえで、私たちは古いブローシャー(通信販売用カタログ)のなかに、そんな原点ともいえる英国をあらためて見出しました。かつては英国製の一級品を取り揃えていたトレンチコートもそのひとつで、第一次大戦時に開発されたトレンチコートの最初期のスタイルを再検証。襟元からの遮 風性を高める大きなスロートラッチ(チン ウォーマー)や、雨の侵入を防ぐ縦長二 重構造のストームシールド(バックヨー ク)、水筒や手榴弾を提げたウエストベ ルトのDカンといった、ミリタリーコートならではのハードな仕様を余すことなく再現しました。それでいて新開発のシル エットは、スーツに羽織った際も程よいゆ とりがありながら、すっきりとしたモダンな佇まいであり、ビジネスシーンでエレガ ントに着こなせます。

ポケットはクラシックな仕様であるフラップ付き。

立ててもさまになる大きな襟は、裏側から丹念に補強。

柔軟かつハリのあるリネンキャンバス製の芯地や国内有数のコートファクトリーの立体的な縫製により、着心地も快適です。またJ.PRESS ORIGINALSのために新開発した全天候(ウェザープルーフ)仕様のベンタイルや、クラシックなタッターソール柄の着脱 ウールライニングを用い、天気を問わない3シーズン対応のコートに仕上がりました。原点への敬意が詰まった普遍的なワードローブです。

ENGLISH DUFFLE COAT

J.PRESSが第一号店を構えたイエール大学を含め、アイビーリーグ校が集中するアメリカ北東部の大西洋沿いは、冬の寒さが厳しいことでも知られる地域です。そして厳寒期、アイビーリーガーたちがこぞって求めたのがダッフルコート。漁 師が船上で着る防寒コートを起源とするダッフルコートは、高い防寒性や風向きに合わせて容易に変えられる前合わ せ、グローブを着けたままでも着脱ができるトグル仕様などが英国海軍の目に止 まり、第二次大戦時には水兵たちの防 寒装備に採用されました。J.PRESSでも1950年代からラインナップし続けており、J.PRESS ORIGINALSにも不可欠な コートです。

エクスクルーシブ生地であ ることが示されたラベル。

ブローシャーイラスト入りラベルは細部の仕様も列記。

シックで合わせやすいネイビーに加え、上品なオフホワイ トと英国軍カラーのキャメルの全3色をラインナップ。

タイドアップしたブレザーに羽織るアイビーリーグ流の着こなしを意識して、トグル留めは麻ではなくレザーで上品な印象に。スーツに羽織れるゆとりがありつつ、スマートでドレッシーなシル エットに仕上げました。さらにこだわったのが、“ブリティッシュダッフルクロス”と名付けた素材です。国内有数の服地メー カー、日本毛織の生地“キューバビーチ” に用いられる剛性の高いストロングウー ルをブレンド。強度があるため起毛加工に膨大な時間を要しますが、これをダイアゴナル柄の三重組織に織って起毛させることで、やわらかな肌触りとハリコシ、 抜群の温かさ、そして上品な表情に仕上がっています。たとえアメリカ北東部の寒さのなかでも、洒落心を満たしながらエレガントに装えるダッフルコートです。

PEA COAT

1950年代のブローシャー(通信販売用カタログ)に掲載れているJ.PRESSのピーコートは、ブルー(ネイビー)のウールメルトン地にクリムゾンレッドのライニングがトレードマーク。それはブルーがスクールカラーのイエール大学だけではなく、クリ ムゾンレッドを掲げるアイビーリーグ校のひとつ、ハーバード大学への心配りでした。ブランドロゴにも記されているように、 J.PRESSの本国4店舗のひとつはハーバード大学のお膝元、ケンブリッジにあるからでもあり、いかにピーコートがアイビーリーガーに人気だったかを示す逸話とい えるでしょう。J.PRESS ORIGINALSで はウィンターシーズンの日常着として幅広く着こなせるように考慮し、武骨なアメリカ海軍の装備品ではなく、ジャケットに近いシルエットとシンプルなデザインの英国海軍モデルをベースにリファイン。ジャケットのような感覚でエレガントに着こなせる、大人にふさわしい洗練されたピーコートを目指しま した。

ブローシャー抜粋のイラスト入りラベル。J.PRESSでは英国風に“リーファージャケット”とも呼んでいました。

左身頃内側には遮風性を高めるチンストラップを収納。

素材には上質でやわらかいタスマニアウールの原毛をブレンドし、ハニカム状の織り目で高密度に織り上げることにより、ハリがありつつも柔軟で着心地がよく、しかも温かさと蒸れにくい通気性をも備えた生地に仕上がっています。さらに起毛加工を丹念に施し、毛羽をぎりぎりまで刈り込むことで、まるでヴィンテージのようなこなれた風合いと端正な表情も味わうことができます。男のワードローブの筆頭に数えられるピーコートは、だれもが一度は袖を通したことがあるアイテムでしょう。だからこそ、伝統と現代感覚に裏打ちされた、J.PRESS ORIGINALSならではの一着をお試しいただき、違いを吟味してみてください。

WEST POINT PANTS

ブルーブレザーにボタンダウンシャツ、レジメンタルタイ、そしてチノパンツ。この アメリカントラディショナルの王道的ス タイルは、どのように生まれたのかご存じでしょうか。第二次世界大戦が終結すると戦地から多くの復員兵が母国アメリカに引き上げてきます。そのなかには大学で学び直したいという若者もおり彼らを率先して受け入れたのがイ エール大学。そう彼らが軍隊時代のチノパンツをキャンパスでも愛用し、ブレザーと合わせてはいたのが冒頭のス タイルの発症といわれているのです。ブレザーを着てイエールに復学する兵士の中には、陸軍士官学校(ウエストポイント)出身のエリートもいたでしょう。 J.PRESS ORIGINALSにラインナップしたチノパンツは彼らが士官学校で着ていた制服がベースとなっています。

ベルトなしでも着用できるクラシックなバックシンチ(尾錠)はアイビーリーガーが好んだディテール。

ポケット袋地に施したミリタリースペック風スタンプ。

まずは極細のスーピマコットン製コーマ双糸を高密度に織り上げ美しい光沢とハリがありつつ、タフな耐久性も備えた、日本では"ウエポン"と略称される極上のコットンチノクロスを再現しました。これをJ.PRESS伝統のパイプドステムシルエットに乗せ洗いはかけずにセンタークリースを入れたパンツは、ジャケットと上品に合わせられる"ドレスチノ"と呼ぶにふさわしい仕上がりです。また、ウエストのフィッティングを調整するためのバックシンチ(尾錠)も特徴的なディテール。さらに、はき込むほど風合いが増し、身体になじんでゆく楽しみがあり、年月を経るほど手放せない一本となるはず。ブレザーとの普遍的なコンビネーションはもちろん多彩に着まわせる新定番パ ンツの登場です。

COLLEGE FLANNEL TROUSERS

J.PRESSのトラウザースの代表シルエットであるパイプドステムとは、“パイプの軸”という直訳が表す通り、タックがなく、ほぼテーパードしていない、細みのストレートシルエットのこと。それはアイビーリーガーが好んだシルエットであり、J.PRESSでは早くから採り入れてきました。そして、その端正なラインを損なわないために、創業者ジャコビー・プレスによって考案されたのが“バーティカルカーヴィングポケット”です。一見では目立たぬようサイドシームに合わせてウエストに設けられる一般的なバーティカルポケットですが、実は型紙上はポケット口が弧を描いており、これを直線状に伸ばしながら縫うことで絶妙な立体感が生まれ、手を入れやすく、中身が飛び出しにくい構造になっているのです。それは美しさだけではなく、着る人の快適さに重きを置いた、ジャ コビーの服作りを象徴するディテールといえるでしょう。

J.PRESSのエクスクルーシブ生地であることを示すラベ ル。1000回の試作、の逸話を象徴する数字が入ります。

ベルト不要という実用性も あるクラシックな尾錠付き。

こうしたJ.PRESSのトラウザースに対するこだわりを余すことなく堪能できるのが、1001カレッジフランネルで仕立てたJ.PRESS ORIGINALSのトラウザースです。そのクセのないシルエットはブレザーなどのジャケットだけでなく、合わせるトップスを選びません。 また厚手のカレッジフランネルは膝が出 にくいというメリットがあり、グレーは澄んだ発色で、こなれた雰囲気がニットやスニーカーなどのカジュアルなアイテムとも好相性です。クラシックなバックシンチ (尾錠)や動きやすいタック入りのマー ベルトなど、ディテールも本格的。裾はダブルカフスでアイビーリーガー流に仕上 げるのがおすすめです。

SHAGGY DOG SWEATER

グレートブリテン島の北東沖に浮かぶ約100の島から形成される、スコットランドのシェットランド諸島。その島々に500年以上前から伝わるシェットランドセー ターは、元々は島民たちの自給自足による防寒着でした。20世紀初頭にはアメリカの紳士服市場に上陸し、それに独自のアレンジを加えて戦後世界的に流行させたのはJ.PRESSの功績といえます。 保温性を高めるための起毛加工に、繊細なカシミヤニット用であるチゼル(ア ザミ)の実を採用。毛羽の毛足がやや長く、ふわりとした風合いに仕上げました。 その独特の表情が二代目社長アービン・ プレスの飼っていたむく毛の犬を思わせることから、アービン自ら“シャギードッグセーター”と命名。ネーミングの妙と他にはない軽やかな着心地が相まって、瞬く間に大ヒット商品となったのです。いまでは起毛加工されたセーターの一般呼称ともなっている、そんなシャギードッグセーターを昔ながらの製法で再現し、 J.PRESS ORIGINALSにラインナップしました。

シャギードッグの名称を表記したクラシックなラベルには、ネーミングのヒントになったむく犬の絵柄入り。

天然チゼルによる起毛加工はもちろん、筒状に編むことで脇の接ぎ目がなく、ストレスのない着心地となるシー ムレスニットマシンや、柔軟性を引き出すシェットランド諸島のピートウォーター (軟水)を用いた洗浄、エアリーな表面感となる吹上式の蒸気アイロンによる仕上げなどを採用。ベーシックなクルーネックをはじめ、伝統的なフェアアイル柄や汎用性の高いカーディガンなど、多彩なスタイルでお届けします。

チゼルの実を用いた昔ながらの起毛加工を採用。

上質なウールを含め、全工程スコットランドにて生産。

USA MADE

アメリカ生まれのJ.PRESS

創業者ジャコビー・プレスがイエール大学内に開店した注文服店を端緒に、全米へ店舗を広げていったJ.PRESS。それらの店内には、審美眼の持ち主でもあったジャコビー厳選のアメリカ生まれの逸品が取り揃えられていました。そんな歴史を踏まえ、今季、ご要望も多かったアメリカ製のアイテムを久々に限定展開します。かつてJ.PRESSの製品を生産していた実力派ファクトリーに、現代性を加味した型紙や仕様、素材を指定し、スタッフが現地に赴いて依頼。そうした指定は通常できないファクトリーからも、特別に快諾を得ることができました。完成した5アイテムは、J.PRESS のトラディショナルな美学が投影された自信作です。

BLUE BLAZER

by Southwick

1929年の創業以来、サウスウィック社は米国随一のクロージングファクトリーとして、多くの一流ブランドの信頼を得てきました。それはJ.PRESSも例外ではなく、現在も本国のメイド・トゥ・ メジャーラインを生産しています。そんな同社に依頼したのはニューオーセンティックモデルのブルーブレザー。同社 のやわらかな仕立てとイタリアはカルロバルベラ社製のなめらかなソフトフランネル、そしてニューオーセンティックモデルの身体をナチュラルに包み込むシルエットが相まって、抜群の着心地と大人らしいエレガンスを備える一 着に仕上げています。

マサチューセッツ州に居を構えるサウスウィック社。

ウォーターバリー社製ボタンは、サウスウィックオリジナルのクロスシールド柄入り。

BUTTON DOWN SHIRT

by Garland Shirt Company

現在では少なくなったアメリカ国内のドレスシャツ工場。そのなかのひとつであるノースカロライナ州のガーランド社に、ボタンダウンシャツをオーダーしました。ベースはフラップポケット付きの“アービン B.D.”モデルですが、さらに注目なのは生地です。かつて米国製シャツの代名詞的存在だった、ダンリバー社(現在は廃業)のオックスフォード生地。そのスペックを再現しつつ、米国産スーピマコットンを用い、 米国内の生地工場で織った特別なオックスフォードを採用しました。いわば“完全アメリカ製”の希少な風合いをお楽しみいただけます。

ガーランド社はサウスウィック社の傘下にあり、高品質なシャツを一貫生産する全米有数の工場。
前立て裾には同社のラベルを添付。

MILITARY PANTS

by Hertling Trousers

かつてアメリカ軍の将校たちは、一般的に支給される官給品とは別に、テー ラーで高品質なユニフォームを仕立てていました。ニューヨーク市ブルックリンにてそんな将校用ドレスパンツを手掛けていたのが、小さなパンツ工房であるハートリング社です。そうした歴史を再現すべく、同社に注文したのはJ.PRESS伝統のパイプドステムシルエットの尾錠付きミリタリーパンツ。英国軍が用いていたブリティッシュドリ ル素材を用い、洗いをかけず美しいセ ンタークリースを施したドレス仕様で仕立てました。ジャケットに好相性な大人の“ドレスチノ”です。

エレガントなドレスパンツが得意なハートリング社。ラベルには地元ブルックリンのシンボルである、ブルック リン橋が描かれています。

AUTHENTIC SOLID REP TIE

by Bentley Cravats

ニューヨーク市チェルシーにて、アイビーリーグのスクールタイを長年作り続けてきたベントレー社。以前はJ.PRESSのタイも手掛けていましたが、 近年は取り引きが途絶えていました。 そんな両社のパートナーシップを復活させるべく、久々にタイをオーダー。今回はあえてかつてのようなストライプ柄ではなく、英国スティーブンウォルターズ社に発注したソリッドカラーのシルク レップ生地を用い、7.5cm幅の“ビューフォート”モデルでモダンな仕上げに。 ベントレー社が誇る熟練職人のオー ルハンドメイドで、やわらかな絞め心地にも魅力があります。

ひとりの職人が全行程を手作業で仕上げるベントレー社のタイ。同じレップ地を用いたボウタイとチーフもラインナップします。

LONG WING TIP SHOES

by Allen Edmonds

アメリカントラディショナルスタイルに欠 かせない靴といえば、翼状の切り替えがヒールまで伸びるロングウィングチッ プ。なかでも傑作として名高いのが、ウィスコンシン州の老舗アレンエドモンズ社の“マクニール”です。J.PRESSはそんな名品をシボ(シワ模様)が細かいスモールスコッチグレインレザーで特注。エクスクルーシブモデル、“アトランティス”が完成しました。上品なロングノーズと程よくラフな革が織りなす、装いを選ばないバランスのいい表 情。そしてアレンエドモンズ独自のダブルグッドイヤー製法の高い耐久性により、長く愛せる一足となるはずです。

歴代の米国大統領も愛用するアレンエドモンズ社のロゴが箔押しされたインソー ル。付属のシューズバッグは J.PRESSとのダブルネーム。

J.PRESS
2015 AUTUMN & WINTER

PHOTOGRAPHY:Takashi Nishizawa
TEXT:Yasuhiro Takeishi
ART DIRECTION:Sho Sawada(H.D.O.)
DESIGN:Hiroaki Nakaoka(H.D.O.)
EDIT:Kenji Washio

ONWARD CROSSET

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こちらに掲載の内容については、2015年9月に作成後(紙カタログ発行後)の内容を原則、修正・反映しておらず、紙カタログ発行当初公開していた内容をベースに掲載されております。
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